◎淀川テクニック
活動および実施期間:2003年~
主催:アーティスト柴田英昭
http://yukari-art.jp/jp/artists/yodogawa-technique
【どんな社会的課題に対して】
・環境問題への興味や関心を高める
【アートのどんな手法でアプローチして】
・落ちているごみを素材にさまざまな造形物を制作する
淀川テクニックは、柴田英昭(1976年岡山県生まれ)のアーティスト名2003年に大阪・淀川の河川敷を拠点として活動開始。大阪府北部を貫流する淀川は都市近郊の河川のためごみが多く、河川敷に落ちているごみや漂流物を使ってさまざまな造形物を制作。第一回目の「瀬戸内国際芸術祭」で公開され、岡山県・宇野港に常設展示されている「宇野のチヌ」などで知られる。
【どんな課題を乗り越えて】
素材はごみなので予算がかからないと思われがちだが、河川敷や浜辺でひとつひとつ広い、すべて違う形や材質の素材を駆使して制作することは、既製品を使うことにくらべて多くの時間とエネルギーが必要になる。
岡山県宇野港に設置されている「宇野のチヌ」は3年に1度、劣化したごみをつけかえるが、その際には地元の方々に声を掛けてごみや不要物を持ち寄ってもらい、作品の一部に使用。そうすることでごみ収集の工程が減らせるだけでなく、地元の方にとっても自分たちのごみが作品に一部になる、広がりのある作品になっている。
【どんな結果に至ったか】
その土地土地のごみを素材にすることで、その土地でしか出来ないシンボリックな作品を生み出すだけでなく、素材となるごみを集める活動を滞在先の団体と共に行うなど、素材集めが環境の美化や現地の人との交流につながっている。2018年より世界各地でごみを拾い、その現状を作品にする「ごみハンタープロジェクト」も開始。目撃した現状を作品という形で伝えることで、ごみ問題を考えるきっかけになることを目指す。
またごみで工作をする子供向けワークショップも、積極的に実施。環境問題に加えて、さまざまな形のごみを使うことで見立ての面白さや、素材からアイデアを考える教育的な側面もある。ごみが素材であるため、失敗することへのハードルが低く、何度でもトライ&エラーを繰り返せるというメリットも大きい。