◎霧はれて光きたる春
活動および実施期間:2010年、2012年、2014年
主催:
大阪市立大学船場アートカフェ(2010年)
おおさかカンヴァス推進事業(2012年)
一般社団法人ブリコラージュ・ファウンデーション(2014年)
https://www.facebook.com/BricolageFoundation/
【どんな社会的課題に対して】
・入院患者の不安に寄り添い、希望の未来を描けるイメージを創出する
長期入院している患者にとって、病院で過ごす日々は不安の中にある。長期入院している患者にとって、病院で過ごす日々は不安の中にある。また外の世界と触れ合う機会も少ない。
【アートのどんな手法でアプローチして】
「霧はれて光きたる春」は、入院病棟の吹き抜けを使ったインスタレーション。第一回は2010年に大阪市立大学附属病院で行われた。入院病棟の巨大な吹き抜け空間を底から湧き上がる霧が覆い尽くし、その霧が晴れるにつれて空から無数のシャボン玉が降り注ぎ、やがて光に囲まれるという風景を創出。濃い霧は闘病生活における不安を、シャボン玉はその先にある希望や未来を表現している。霧やシャボン玉は空気の流れにセンシティブに反応するため、現象をもっとも効果的に描ける素材として採用された。
【どんな問題を乗り越えて】
第一回は大阪市立大学付属病院との共同プロジェクトとして、第二回目はおおさかカンヴァス事業の助成事業として開催。第三回目は音響・照明・特殊技術機材などに必要な費用をクラウドファンディングで募集。目標金額を達成し、2014年に急性期病院での開催を実現した。
【どんな結果に至ったか】
圧倒的な風景を作り出すことで、患者や医師、看護師などそれぞれの立場や属性を離れ、「等しく一人の人間になる」瞬間を演出。見たことのない風景を前に、院内にいる人々が一人の人間として会話を交わし、体験を共有することで、これまでとは異なるコミュニケーションが生まれた。
またこのインスタレーションは、2012年に一般社団法人日本空間デザイン協会主催の空間デザイン大賞と、日本経済新聞社賞を受賞している。
屋上から降り注ぐ無数のシャボン玉は、希望の光をイメージ。
(C)堀川高志
インスタレーションに合わせて、プロジェクトを手がけるハナムラチカヒロ氏の詩も院内に展示された。