◎ビブリオ インカーブ(大阪市平野区)
活動および実施期間:2015年〜
主催:社会福祉法人 素王会
http://b-incurve.jp/
【どんな社会的課題に対して】
・知的障がいのあるアーティストの自立支援
知的障がいのあるアーティストの作品はボーダレスアートやアール・ブリュットなど福祉のフィルターを通して評価される傾向にある。現代アート作品として評価されないことでアート市場に流通せず、結果として障がいのある人がアーティストとして自立する機会の減少につながっている。
【課題へのアプローチ】
この課題に対し、社会福祉法人 素王会が運営するアトリエ インカーブは、知的障がいのあるアーティストの作品を現代アートの作品として市場に出品。アートコレクターに向けて販売することで、障がいのある人のアーティストとしての独立をサポートしている。
また、同法人が運営しているビブリオ インカーブでは、アトリエ インカーブに所属するアーティストの作品をブックカバーやポーチ、Tシャツなどのオリジナルグッズ化して販売。オンラインショップのほか、全国のミュージアムショップやインテリアショップでも取り扱っており、一般の人も手に取りやすい形で展開している。『作品を市場につなげるためのヒント集 HINTS FOR CONNECTING ART WORKS TO MARKET』『ATELIER INCURVE in ART FAIRS』など書籍や図録の編集・出版も手がける。
【どんな問題を乗り越えて】
アトリエ インカーブの立ち上げ当初、障がいのある人の作品の展示を美術館に打診したところ、公民館での展示やバザーでの販売を勧められ、美術館での展示はかなわなかった。そのため2年目以降は日本ではなく、ニューヨークの市場へ出展。海外では福祉のフィルターをかけられることなく、現代アート作品として評価された。現在もニューヨークやシンガポールなど海外の現代アートフェアにも積極的に出品。美術館から展覧会の依頼も増えたが、美術館は作品の売買ができずアーティストの収入につながらないため、現在はほとんど展示を行っていない。
【どんな結果に至ったか】
現在は25名のアーティストが所属しており、25人が25通りの方法で作品を制作。非常に高く評価され、数百万という価格で取引されているアーティストの作品もある。またアーティストが芸術大学の非常勤講師として登壇するなど、活躍の場が広がっている。
ビブリオ イン カーブから、これまで7冊の書籍・図録が出版されている。
(C)アトリエ イン カーブ 湯元光男